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泣かせるメロディ

読売新聞の夕刊(2016年5月28日)に作曲家 三枝成彰 さんの所感が掲載されていました。

 

「作曲が喜びに 45歳の転機」

とタイトルされた記事では、現代音楽から調性音楽へと回帰することによって、氏が作曲する喜びを取り戻した経緯が書かれています。

 

それまでは「現代音以外は音楽じゃない。調性のある音楽は具に骨頂」と思いながらも、デザイナーの石岡瑛子さんから「現代音楽の客は大半が(自分たちの)友達と親類でしょ。自慰行為よ。」と言われトラウマになった三枝さん。

 

45歳の時にオラトリオ「ヤマトタケル」の委嘱を受け、それを機にオペラへとメロディーへと大きく舵取りを変えていかれました。

 


三枝さんの「泣かせる甘美なメロディ」

三枝さんには二度ほどお会いしています。

その際に感じたのはオペラへの強い情熱でした。

二回目はオペラ「KAMIKAZE」を書かれた直後で、そのとても分厚いスコアを拝見した後だっただけに

その熱はどこからくるのですか?と質問すると

三枝さんは「僕は劇が好きなんですね。」とおしゃいました。

 

現在は林真理子さんの台本によるオペラを、そして人生最後のオペラには「平家物語」を書いてみたいとおっしゃる三枝さん。

コラムの最後は

『最後はやはり、心の機微に触れる泣かせのメロディーで終わりたいのです。』と締めくくられていました。

 私はこの言葉に強い共感を覚えます。

 

泣かせる先輩たちのメロディー

私のやっている吹奏楽の世界でも、メロディー重視ではない現代音楽傾向の作風や作品は多くあります。

その良否については、作品によるのでなんとも言えません。

良いものもあれば、そうでないものもやはりあるということです。

 

要は、どのような手段を使っても人に伝わるものがあれば良いのだと思います。

「泣かせるメロディ」もその一つということでしょう。

 

三枝さんと同じ世代のこのお二人も「泣かせるメロディ」を書くのがとても上手いですね。

 

大野雄二の泣かせるメロディー

以前のブログ「水野晴郎さんとルパン」でも取り上げた大野さんですが

僕は大好きなのでまた書かせていただきます。

 

三枝さんより一年2ヶ月前に生まれた大野さん

NHKの「小さな旅」や映画「人間の証明」、そしてもちろんルパン3世などから聞こえてくる

哀愁を帯びた大野節と言っていい泣かせるメロディー。

また氏はジャズ畑出身なのでジャジーなコード進行も特長です。

 

必殺の泣かせるメロディー

三枝さん、大野さんよりもやや兄貴分にあたるこの方のメロディーも泣かせます。

主として商業音楽、歌謡曲やテレビ・映画音楽で活躍している「平尾昌晃」さんです。

 

得てして「霧の摩周湖」「カナダからの手紙」や「よこはまたそがれ」「私の城下町」などの歌謡曲の作曲が目立っていますが、劇伴にも泣かせるメロディーをたくさん書かれています。

 

特に息の長い人気を得た「必殺」シリーズは氏の代表作です。

主役は藤田まことさんから東山紀之さんへと交代しましたが、音楽は平尾さんがずっと担当されました。

 

まさに必殺の泣かせるメロディー・メーカーです。


 

こんな憧れの先輩たちの足元にも及ばない・・・のですが

《書きたくなります! 泣かせるメロディー 》

 

自作「夢燃ゆる、紅き空に」中間部から『幸村の夢』です。